早稲田大学ラグビー蹴球部に所属する2~4年生の選手・スタッフが相互インタビューで
理解を深める連載企画、第73回は清水竜成(4年・WTB・早稲田実業)。
取材:横山太一 構成:早稲田大学ラグビー蹴球部広報 写真:鳥越裕貴
成長するために足を止めない。
早実に入学したことで早稲田を意識し、大学ラグビーを見据え始めた。大学入学後はJrでのプレーが多く続いたが、昨年の流経大B戦に後半最初から出場し、自分の得意なランでトライを奪って期待に応えられた。周りの信頼に応えられ、アカクロに近づいた実感がわいた瞬間だった。
この流経大戦をきっかけにSrでプレーしていたが、体調不良で脱落。これまで積み上げてきたものが失われてしまう感覚だった。自分の自己管理の甘さに後悔し、チャンスを逃したことが悔しかった。
復帰後、どこかでSrに上がれるのではと思っていた。それゆえ、Jrで積極的にアピールできず、ぬるま湯につかるような期間を過ごしてしまった。4年の先輩たちがJrの表にいることに対して自分のほうが上だと思い、自分にベクトルを向けることができなくて自らを成長させることができなかった。自分の能力を過信せず、下であることを受け止めて自分を鼓舞していたらシニアに上がれて今もシニアでAに絡むことができたのではないか。謙虚な気持ちは必要、かつ自分の能力を信じることも必要だが、成長するために足を止めないことが大切だと自分を客観的に見て気づいた。
昨シーズン最後の面談で、当時コーチだった武川さんにゲバでキックを蹴られた際に追いかけなかったことを指摘された。その時、小泉と今駒は追いかけていた。一瞬力を抜いてボールを追いかけられなかった自分の行為に対する武川さんの、「チームとして記憶に残り、チームからの信頼を失う行為だ」という言葉が刺さった。
その時を振り返り、試合に負けていて気持ちが乗っていなかったこと、過信しているがゆえリザーブ出場という現実に対し、まだまだ気持ち的に投げやりなところもあったと気づいた。そういう部分があるとAで出ることはできない。今後もそのような場面は必ずある。
今年のテーマは気持ちで負けないこと。逆サイドでも自分が追いかけるという気持ちを持ち続けたい。
また、今までは自分一人で考えるタイプでライバルの選手と情報交換をすることはなかった。情報交換をすることでライバルに有益な情報を与えてしまうことを恐れていた。しかし、共有することで自分の持ってない思考を得ることができ、ラグビー理解も深まる。どのカテゴリーでプレーしても、情報交換をして今後の早稲田ラグビーの発展につなげたい。
たわいもない会話から、腑に落ちることもある。選手同士の仲も深まる。自分やチームの今後のメリットにもなると考えている。大学に入って気づいたことは、今まで何も考えずにラグビーをしていたということ。ラグビーとはこんなに考えてやるスポーツなのかと9年目にして実感した。
また人間関係の大切さを学んだ。ラグビー部の生活ではいろんな出来事があって、人間の本質を学び、今ではここからスタートという気持ちが強い。中高はその先が決まっていたが、大学では自分の足で強く生きていかなければいけない感じがした。大学というよりも、早稲田のラグビー部にいたことで多くのことを学べたと思っている。