いよいよ最終節を迎える関東大学対抗戦(対抗戦)。
臙脂の早稲田と紫紺の明治、両校のファンをはじめとする多くの観客で、東京・国立競技場が埋め尽くされる。早大はここ2年、対抗戦での早明戦勝利を手にできていないが、昨季は全日本大学選手権(選手権)でリベンジを果たし決勝へ進んだ。今季は関東大学春季大会で敗戦を喫して以来の戦いとなる。ここまでの対抗戦成績が5勝1敗で並ぶ両校にとって、来たる選手権に向け勢いをつけたい重要な一戦。早大は2年ぶりに早明戦勝利をつかみ、対抗戦を白星で締めくくれるか。
同じく国立競技場で開催された前節の早慶戦。SH島本陽太(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の先制トライを皮切りに流れを引き寄せると、FB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)の活躍も光り、リードを保って後半へ。ハーフタイムがあけてもその集中力が切れることはなく、さらに追加点を奪って43-19で勝利を収めた早大。
チームの勝因について「FWのセットプレーが安定したこと」と伊藤が語ったように、HO佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)は緊迫した場面でも安定感のあるスローを見せ、モールを早大の武器として確立させている。さらに今季強化してきたスクラムでも、重戦車を代名詞とする次戦の相手・明大に対してFW陣が力を発揮してくれるだろう。また、春にU20日本代表を経験し、前節からスタメンに復帰したLO栗田文介(スポ2=愛知・千種)の存在も忘れてはならない。モメンタムを重視してくる明大に対し、屈強なフィジカルと鋭いアタックでチームの勝利に貢献しているLO栗田をはじめとして、次戦はどこまで早大ディフェンスが相手の動きを抑えられるかがカギとなる。攻撃では、今季活躍を続けるルーキーWTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が軽快なランで国立競技場を湧かせられるかにも注目だ。前節での勝利を弾みに、次戦も主将である伊藤を中心としてゲームを展開し、一つ一つの武器を発揮することで勝利をたぐり寄せる。
一方の明大は、前節の帝京大戦こそ黒星を喫したものの、開幕から大量得点で5勝を収めている。前節ではラインアウトの精度が敗因の一つとなってしまったが、開幕から抜群の安定感を放ってきた武器を確実に修正し、攻撃にリズムを与えてくるだろう。さらにBKには対抗戦トライ獲得数で現在1位を独走しているWTB安田昂平、速いテンポでゲームをつなぐSO伊藤耕太郎、前節にケガからスタメンに復帰し活躍を見せたFB池戸将太郎など多くのタレントがそろう。グラウンドを横に広く使った攻撃に、個人の突破力が加わる明大。早大は明大の攻撃に翻弄されることなく、チームで一貫性のあるプレーを続けられるかが重要だ。自分たちのプレースタイルを見失わず、攻撃を仕掛けにいきたい。
毎年対抗戦最終節に行われる伝統の早明戦。
ここまで6試合での収穫、反省を胸に、両校がベストなプレーを発揮し、熱い戦いを繰り広げてくれるだろう。早大は「自分たちがもっているものを洗練させていく作業に入る」(大田尾監督)。今季取り組んできた全てのプレーに自信を持ち、宿敵・明大を相手に早大らしいラグビーを遂行してほしい。
記事:濵嶋彩加 写真:川上璃々(早稲田スポーツ新聞会)