大阪・ヨドコウ桜スタジアムにて全国大学選手権準々決勝となる京産大戦が行われた。「起点となるセットプレーの精度と中盤でのペナルティー」(大田尾竜彦監督、平16人卒=佐賀工)で、早大は準備してきたものを思うように発揮することができず、相手にリードを許して前半を終える。反撃が期待された後半、リザーブ選手たちの活躍も光り、全員が一丸となって奮闘するものの、京産大の強烈なアタックを止めることができず、無念の敗北となった。
前半、京産大の強力なFWのフィジカルに苦しめられる展開に。早大のハイパントキックが相手FLに入ると、FWを中心に前進を許し、たまらずハイタックルのペナルティを犯しPGを沈められ、先制点を許す。しかし9分、敵陣5メートルと22メートルラインの間でペナルティーキックを獲得するとスクラムを選択。SH島本陽太(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が相手ディフェンスの逆をつくパスワークを見せると、最後は後ろから走り込んできたWTB矢崎由高(スポ1=神奈川・桐蔭学園)がディフェンスの間をぬって、インゴールを駆け抜けた。CTB野中健吾(スポ2=東海大大阪仰星)がコンバージョンキックを冷静に決め7-3とする。しかし、21分に相手スクラムからNo.8ポルテレ(京産大)に4人のディフェンスを弾き飛ばす異次元の突破を許すと、そのままインゴールを叩き割られる。その後も相手FWの力強いアタックとFB辻野(京産大)の正確無比なキックで点差を広げられ、7-23で試合を折り返した。
ハーフタイムで接点のディフェンスとセットプレーの修正が期待された早大だったが、後半も同様に劣勢の展開に。キックオフのボールをキャッチした京産大に50:22キックを決められると、ラインアウトモールで押し込まれ後半最初のトライを奪われる。なんとしてでも京産大の勢いを止め、反撃の糸口をつかみたい早大は、後半5分に前節から復帰したSH宮尾昌典(スポ3=京都成章)を投入。その5分後、FB伊藤大祐主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がアタックを仕掛け、相手の反則を誘うと敵陣10メートルライン付近でラインアウトを獲得。パスを受けたSO久富連太郎(政経4=島根・石見智翠館)がステップで相手を惑わし前進し、ディフェンスの隙をつきそのままインゴールへ。そして後半28分、マイボールスクラムを獲得すると、矢崎にパスが渡り、HO佐藤健次(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が相手の反則を奪う。クイックスタートで、相手のディフェンスラインが整う前に隙をつき、宮尾が意地のトライを見せた。このまま、流れを引き寄せたいところだったが、再開直後に再び相手に追加点を許す。早大は33分、ハイパントキックをクリアし、伊藤にボールが入ると、そこから左右に大きく素早く展開し相手ディフェンスに的を絞らせない。最後は左の大外で余っていた矢崎にボールが渡り、内側に切り込んでそのままグラウンディング。しかし、京産大の勢いのあるダイナミックなアタックと力強いスクラムに終始圧倒され、28-65でノーサイドとなった。
伊藤が「自分たちのやりたいことをシンプルに出させてもらえなかった」と振り返るように、試合を通して早大らしいテンポの良い素早い展開ラグビーを封じ込められての完敗。「監督やコーチ陣と、4年生と、上井草に残してきたメンバーとも、ただただ本当にみんなともっとラグビーがしたかった」(伊藤)。『日本一』への挑戦は、幕切れを迎えることとなった。
記事:戸祭華子 写真:川上璃々(早稲田スポーツ新聞会)