春の早明戦。『春シーズン全勝』を掲げる早大にとって、最大の脅威となる紫紺の壁。早大と明大、両雄は新潟・デンカビッグスワンスタジアムで相まみえる。早大が明大に打ち勝ったのは2022年12月25日、第59回大学選手権準々決勝が最後であり、現在は2連敗を喫している。春季大会では2013年に73-12で大勝して以来、10年近く勝利から遠ざかっている。今シーズンこそ『荒ぶる』を奪還するため、春の早明戦で何としても勝利し、自信と弾みをつけたいところだ。
前節は愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で行われた春季大会第2節。関東大学リーグ戦1部で史上初の5連覇を達成した強豪・東海大との一戦に臨んだ早大は、序盤から猛攻を繰り広げ、前半だけで6トライを挙げた。後半は東海大の粘り強いディフェンスに苦戦したものの、追い上げを許さず、59-26でノーサイドとなった。
「春から積み上げてきたスクラムが少しずつ形になってきている」とHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園) が振り返るように、東海大のパワフルなスクラムにも後手に回らず、試合を優位に進めた早大。明大の爆発力のあるスクラムとも対等に組み、セットプレーを安定させられるか期待したい。今節から復帰を果たしたNo.8松沼寛治(スポ2=東海大大阪仰星)の存在も忘れてはならない。ラガーマンの肝となる力強いプレーはもちろん、機動力を持ち合わせた生粋のハードワーカーはスクラムの最後尾から明大の綻びに目を光らせる。SO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)は好調を維持し、どんな角度からでも得点に結びつける高精度なキックが明大のプレッシャーとなることは間違いないだろう。ベンチにはHO安恒直人(スポ4=福岡) やFL粟飯原謙(スポ3=神奈川・桐蔭学園)、SH糸瀬真周(スポ3=福岡・修猷館) など早大の起爆剤になる選手たちが控えている。これらの選手を有効的に切る大田尾竜彦監督(平16 人卒=佐賀工) の采配にも注目が集まるだろう。
対する明大は安定したセットプレーと強力なコリジョンで次々と前進する伝統的な重戦車FWに加え、個々が高いスキルを持ち、それぞれがアタックの起点となりうるスター軍団のBKの融合が魅力のチームだ。明大のスターティングメンバ―にはHO西野帆平やFL福田大晟、No.8木戸大士郎など明大FWを支えてきたタレントに加え、昨年の全国高等学校ラグビーフットボール大会で観客を沸かせたルーキー、SO萩井耀司とFB為房幸之介が顔を揃える。控えにはCTB秋濱悠太やWTB安田昂平など多くのスターが座り、層の厚さを見せつける明大。『銀河系軍団』の多彩なアタックに対し、この春シーズンに時間をかけて鍛えてきた組織ディフェンスで対抗できるか、注目の一戦である。
ここまでの春シーズン、全カテゴリーで勝利を収めてきた早大。『Beat Up』を宿敵・明大相手にも体現することができるか。伝統の一戦、これからのシーズンを占う試金石になる春の早明戦に対し、全選手は並々ならぬ思いで試合に臨むことだろう。両校は新潟の地で雌雄を決する。
記事:村上結太 写真:清水浬央(早稲田スポーツ新聞会)