早明戦の厳しさを予見するかのように、強い雨が降り注ぐ新潟・デンカビッグスワンスタジアム。宿敵との伝統の一戦は、両校力を出し合う好ゲームとなった。
前半、明大がインターセプトからそのまま先制点を奪うも、その後は早大がスクラムで相手の連続ペナルティーを獲得するなど流れを掴み、3本のトライを返し21-5とリードして試合を折り返す。
後半に入ると明大の反撃を受け自陣に攻め込まれる時間帯が多くなり、前半と同様に先制を許してしまう。それでも明大の追い上げムードに動じることなく、自分たちのペースでゲームを進めた早大。ペナルティーゴール1本含む15点を追加して突き放した。最終スコアを36-26とし、春の対戦では11年ぶりとなる明大からの勝利を奪った。
試合開始からしばらく、雨の影響か両チームボールの落ち着かない時間が続く。そんな中迎えた前半6分、早大の自陣スクラムからSH細矢聖樹(スポ4=國學院栃木)が持ち出し投げたボールに対して明大のSO萩井が反応。痛恨のインターセプトからトライを奪われてしまった。
先制を許したものの、安定したセットプレーとディフェンスで徐々にペースを掴んだ早大は18分、敵陣ゴール前でのラインアウトを獲得する。大きなチャンスの場面でHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が突破を図り一気にゴールラインに迫ると、SH細矢がテンポよく捌いたボールを受け取ったPR杉本安伊朗(スポ2=東京・国学院久我山)がゴール中央をこじ開けた。コンバージョンを決め逆転に成功すると、これをきっかけに早大に勢いが生まれる。特に光ったのはチームディフェンス。強力な明大の縦突破に対して、ダブルタックルで対応しゲインラインを割らせない。さらにセットプレーでも終始優勢を保つ。30分には敵陣深くでの明大ボールスクラムでペナルティを奪うと、ラインアウトからモールを形成、力強く押し込みHO佐藤がグランディングした。36分にもLO栗田文介(スポ3=愛知・千種)が得点を加え21-5とリードを保って前半を終えた。
試合が再開されると、明大のアタックが勢いに乗り始め、早大は陣地深くまで攻め込まれる場面が増える。後半10分にはLO西浦剛臣(社4=ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール)が空中戦での危険プレーによる一時退場を言い渡され、10分間を14人で戦うことを余儀なくされる。さらにこの直後、明大ベンチはWTB安田、CTB秋濱らを投入し一気に追い上げを図る。
そして迎えた16分、ゴール前ラインアウトからモールを押し込まれ反撃のトライを奪われてしまった。しかし、早大は集中力を切らすことなく硬い守備を続け、相手のミスから徐々に陣地を回復していく。20分には敵陣ゴール前でのラインアウトからモールを押し込み、再びHO佐藤がトライを決めた。明大の追撃の流れを断ち切ると、27分にはSO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)がペナルティーゴールを決め29-12。さらに34分には敵陣10m付近の右サイドスクラムから、CTB金子礼人(法3=福岡・西南学院)が左サイドでゲインし起点を作り、ハイテンポで逆サイドに再展開すると、大外に待っていたのは今試合で赤黒デビューを果たしたWTB田中健想(社1=神奈川・桐蔭学園)。ルーキーらしいアグレッシブな動きでライン際のインゴールにボールをねじ込み36-12とリードを広げた。終盤に2本のトライを許したものの、明大の猛追を振り切った早大。36-26で試合を終え、春季大会開幕から3連勝とした。
モールからの失点はあったものの、規律を守りながら激しいダブルタックルを駆使し、明大のフェーズアタックを封じ込めた早大。セットプレーでも重量FWを圧倒し、春の山場である重要な一戦を見事な勝利で飾った。今試合は選手たちの勝ちにこだわる姿勢が印象に残るゲームとなった。HO佐藤主将も「戦い続けるだけだと伝えて」いたと語るように、気持ちを前面に押し出したプレーで勝利をもぎ取った。春季大会も残すところ2試合となり、最終節には強敵・帝京大との大一番が控えている。
シーズン全勝、そしてその先の『荒ぶる』に向けて、前進し続けるチーム佐藤から目が離せない。
記事:西川龍佑 写真:清水浬央、村上結太(早稲田スポーツ新聞会)