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Beat Up

2024
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トレーニングマッチ 帝京大学B戦/観戦記

15時にキックオフした早大B対帝京大B。同日に行われたC戦、A戦で敗北を喫した早大は何としても勝利し、帝京大に一矢報いたい一戦。選手たちは並々ならぬ思いで試合に臨み、立ち上がりから帝京大Bにプレッシャーをかける。前半2分、先制に成功した早大Bは7分にも追加点。序盤からペースを握った早大Bは失点を許すものの、24-19とリードを保って前半を折り返す。後半は前半よりもさらに緊張感のある試合展開に。後半9分に帝京大Bに逆転を許すと、負けじと早大Bは18分に再逆転。このシーソーゲームを制したのは早大Bだった。帝京大Bに2点のリードを奪われて迎えたノータイムで早大Bは決着のトライを挙げ、38-33で待望の白星を飾った。

逆転のトライに喜び合う選手たち

試合開始早々からスコアが動く。2分、帝京大Bのオフサイドから敵陣に入り込んだ早大Bはラインアウトから逆サイドに大きく展開。ルーキーのFB植木太一(人1=神奈川・関東学院六浦) が力強いランでゲインすると、フォローに走っていたWTB三浦哲(文構4=東京・早実) がパスを受け取ってトライ。早大Bが序盤で先制に成功した。続く6分には帝京大Bのレイトチャージの反則で大きく陣地を得ると、敵陣22メートルライン付近で形成したラインアウトモールで帝京大Bは再びペナルティー。速攻を仕掛けたSH清水翔大(文4=東京・早実)からボールを受けたFL山本竜大(教3=東京・早実) がインゴールを叩き割り、スコアは12-0となった。12分、早大Bは反則から失点を許してしまうものの、24分に相手ボールスクラムで帝京大Bのコラプシングを誘う。敵陣まで前進したラインアウトでテンポよくアタックを継続すると、植木がフィジカルの強さを見せた。次々とタックルを振りほどき、そのままインゴールまで走り切るとスコアは19-5に。続く29分、帝京大Bの再開のキックオフをキャッチし、自陣から積極的に攻撃を仕掛けた早大B。WTB鈴木寛大(スポ2=岡山・倉敷)がゲインすると、オフロードパスを受け取ったPR新井瑛大(教2=大阪桐蔭)がブレイク。一気に敵陣22メートルラインを突破。ボールを大きく展開し、このままトライを取り切るかに思われたが、帝京大Bにインターセプトを許し、追加点を奪われる。さらに35分には飛び出した早大Bディフェンスの穴を突かれ、ついに19-19と同点に追いつかれてしまう。しかし、前半終了間際に敵陣ゴール前でラインアウトを獲得した早大Bはラインアウトからモールを組む。停滞したモールからボールをさばき、CTB中谷波一土(人4=東京・本郷)の強いヒットで前に出る。順目に素早く走っていた仕事人、FL粟飯原謙(スポ3=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに飛び込み、24-19と5点のリードを得て前半を折り返す。

ハイテンポでボールを捌くSH清水

後半、立ち上がりを制したのは帝京大B。早大Bは9分に自陣ゴール前でのスクラムを組まれると、痛恨のペナルティー。クイックで再開した帝京大Bアタックを捕えきれず、逆転を許してしまう。その後は両チームの圧力あるディフェンスが光り、アタックのミスが増える。16分、中盤で得たマイボールスクラムの一次攻撃でまたも植木がゲインすると、帝京大Bのオフサイドを誘発。敵陣ゴール前でモールを組んだ後、粟飯原とNo.8鈴木風詩(社4=国学院栃木)の強烈なボールキャリーでトライライン目前にまで迫る。「『シンプル』なアタックを意識」していたSO仲山倫平(法3=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ) がディフェンスの隙間を見逃さず、インゴールに飛び込んだ。コンバージョンキックもきっちりと決め、31-26と再逆転に成功した。しかし28分、早大Bはスクラムでペナルティーを奪われると直後のラインアウトモールを押し込まれ、失点。31-33とまたも逆転を許した。続く35分でもスクラムで反則を犯し、自陣深くまで攻め込まれる早大Bだったが、ここで圧巻のディフェンスを見せる。「絶対にトライを取られてはいけない、足を引いてはいけないということが全員の意識としてあった」と鈴木風が振り返るように、帝京大Bの強力なアタックに対して一切の引けを取らず、ターンオーバーに成功。試合が早大Bに傾く。40分、一つのミスも許されない緊張感に満たされた場面で早大Bは鋭い攻撃で次々と自陣から前進していく。帝京大Bはたまらず2連続でペナルティーを犯し、さらに陣地を広げる。早大Bの継続したアタックで帝京大Bディフェンスの綻びを生み出すと、的確に突破を図ったのはゲームキャプテンの中谷。フォローに走っていたCTB佐々木豪正(文2=東京・早実) がサヨナラ逆転トライを挙げ、早大Bは38-33で勝利した。

ディフェンスを抜き去るFL粟飯原

「『Beat Up』、相手を倒すということにひたすらフォーカスしていました」(中谷)。粘り強いディフェンス、そしてノータイムでトライを取り切った集中力は早大Bの大きな武器となるはずだ。一方でPR山口湧太郎(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が「(帝京大Bの)変化をつけてきたスクラムに対して自分たちの形を作ることができなかった」と評価するように、スクラムでのペナルティーを減らしていくことで、さらに常勝軍団として進化していくだろう。この春シーズンでBチームは全勝を達成し、早大ラグビー部のスタンダードを押し上げる。貪欲に『赤黒』を狙う彼らの成長から目が離せない。

記事:村上結太 写真:濵嶋彩加(早稲田スポーツ新聞会)