大学ラグビーのメインシーズンが幕を開けた。早大は9月14日、東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場で関東大学対抗戦(対抗戦)の初戦に臨む。迎えるのは昨シーズン100周年を迎えた古豪・立教大。早大のHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)と共に高校時代、全国大会優勝メンバーに名を連ねていたSH伊藤光希主将を筆頭に、全国大学選手権への初出場を目指し奮闘している勢いのあるチームだ。夏までのトレーニングの成果を遺憾なく発揮し、「荒ぶる」へ向けて好発進を切ることができるか、注目の一戦だ。
今年の早大はチームの始動時からスクラムの強化に着手。春シーズンでは昨年の大学王者である帝京大や「重戦車」FWの明大に対し結果を残してきた。そんな躍進を見せるスクラムの中心であり、チームを率いる佐藤主将にまず注目したい。HOへの転向から3年目を迎えセットプレーの安定感も増し、持ち味のパワフルなボールキャリーで同世代の選手の中でも先頭を走り続ける佐藤。春シーズンには日本代表のメンバーにも初選出された。テストマッチシーズンとの兼ね合いから関東大学春季大会(春季大会)は後半を欠場したものの、世界レベルのラグビーに触れ選手として大きく成長を見せている。また、チームは春季大会で2位を獲得、練習試合でも連勝を飾るなど主将不在の中でも自力を見せつけた。秋は早大に専念すると代表を辞退した佐藤。主将として迎える最後の対抗戦に挑む覚悟と勇姿からは目が離せない。
チーム佐藤が磨いてきたもう一つの武器がディフェンスだ。セットプレーと共に強化ポイントとして重点的に取り組まれてきた。夏のオープン戦では帝京大をわずか2トライに抑えるなど、その成長は目まぐるしい。そんな守備力の向上に大きく貢献しているのがNo.8粟飯原謙(スポ3=神奈川・桐蔭学園)だ。持ち味は高いワークレートと鋭いタックル。最前線で体を張り続け早大のディフェンスを支える立役者である。また秋シーズンには攻撃面での活躍も大いに期待される。春シーズンにはFLとしての出場が主だったが、夏にかけてはスピードを生かしたボールキャリーを評価されNo.8のポジションでAチームのメンバーに定着。攻守にわたり不可欠な存在として躍進を見せている。
5年ぶりの「荒ぶる」奪還に向けて、いよいよ対抗戦の開幕を迎えるチーム佐藤。初戦の立教大は過去2年間の対抗戦をどちらも6位で終えており、念願の選手権初出場を惜しくも逃している。三度目の正直に燃えるチームを磨いてきたスクラムとディフェンスで弾き返すことができるか、「Beat Up」を体現し躍動する「赤黒」の選手たちの負けられない戦いが始まる。
記事:西川龍佑 写真:西川龍佑・清水浬央(早稲田スポーツ新聞会)