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2024
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ジュニア選手権 慶應義塾大学戦/観戦記

時折小雨がちらつく曇天の中、多くの観客がもう一つの早慶戦を観戦しようと早大・上井草グラウンドに訪れた。試合は早大Bが鋭いタックルで主導権を握ろうとするも、慶大Bに先制点を奪われる。すぐに反撃し得点を挙げたが、シンビンで1人を欠くなど厳しい時間が続き、慶大Bに追加点を許し点差を広げられる。それでも動じなかった早大Bは前半終了間際にトライを取り返し、10-14とリードを縮めて試合を折り返した。続く後半は開始直後に早大Bが追加点を決め逆転に成功。このまま勢いに乗ると思われたが、慶大Bも簡単には流れを渡さない。またも逆転を許したものの、粘り強く得点を重ね、宿敵を相手にラストプレーで突き放し、32-21で勝利を収めた。

冷静なゲームメイクで試合を支配したSO仲山

慶大Bのキックオフで始まった今試合。早大BはCTB黒川和音(人3=茨城・茗渓学園)とFL城央祐(スポ1=神奈川・桐蔭学園)が好タックルを決めるなど、相手にプレッシャーをかけ続け試合の流れを掴もうと奮闘を見せる。そんな矢先の前半6分、慶大Bがボールを取り返し、パスをつないで先制点を挙げた。出鼻をくじかれた早大Bだったが、前半8分に黒川が相手ディフェンスをずらす絶妙なパスを放り、これを受け取ったFB植木太一(人1=神奈川・関東学院六浦)がビッグゲイン。最後にパスを受け取ったWTB清透馬(商4=茨城・茗溪学園)がインゴールに飛び込んだ。その後は城、そしてFL多田陽道(商1=東京・早実)の両翼が守備で躍動を見せるも、慶大Bの勢いに押され自陣深くまで攻め込まれる場面が目立つ。さらに25分にはCTB金子礼人(法3=福岡・西南学院)がインテンショナルノックオンの反則で一時退場。認定トライとなり、5-14と点差を広げられてしまった。数的不利になってしまった早大Bだったが、SO仲山倫平(法3=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)がキックを多用し、落ち着いたゲームメイクを見せる。蹴り合いを制し、陣地を回復してピンチを凌いだ。そして前半35分、またも仲山が相手の背後にボールを転がすと、WTB西浦岳優(社1=東福岡)が反応しインゴールに滑り込む。前節から「トライを取ることが仕事」と得点への執念に燃えるルーキーの活躍で、10-14と両者譲らない試合展開で前半を終了した。

ディフェンスに仕掛けるFL多田

再び15人に戻り、仲山のキックオフで始まった後半。開始直後金子が相手のキックにプレッシャーをかけチャージし、敵陣ゴール目前でのスクラムという絶好のチャンスを引き寄せる。PR新井瑛大(教2=大阪桐蔭)が「練習通りに8人でしっかりまとまって組むことができた」と振り返るように、今試合も圧倒的な力を見せるスクラムで慶大BのFWを粉砕するとともに、ペナルティーを奪い認定トライで17-14と今試合初めてのリードを奪った。「エリアを獲得することを頭に入れていた」(SH清水翔大、文4=東京・早実)早大Bは、その後もしばらくは蹴り合いが続き、両者一歩も譲らない堅い試合展開を見せた。この均衡を破ったのは慶大B。後半26分、早大陣地深くまで攻め込み、スクラムからのバックス展開でトライを取り切り、再びリードを奪った。しかし負け知らずの早大Bは直後のキックオフから、金子がタックルで相手アタックを仕留め、LO折戸健介(法4=東京・早実)のジャッカルで敵陣深くでのセットプレーを獲得する。直後の31分、スクラムでまたも相手を打ち砕く。アドバンテージをもらった中で、ショートサイドに走り込んできたSO吉岡麟太朗(スポ4=東京・本郷)が相手ディフェンスを冷静に交わし、22-21と再び逆転に成功した。さらに集中を切らさない早大Bは攻め続ける。黒川がスキルフルなプレーで相手を翻弄し起点を作ると、SH糸瀬真周(スポ3=福岡・修猷館)のロングパスを受け取った西浦が相手ディフェンスを置き去りにしながら内側に切れ込みゲイン。その後も陣地を進め迎えた38分、吉岡からライン際でボールを呼び続けていた清へのロングパスが繋がり、27-21と点差を広げた。試合終了間際にもマイボールラインアウトからモールで押し込むと、HO清水健伸(スポ2=東京・國學院久我山)がインゴールを叩き割り、ダメ押しのトライで試合を決めた。最終スコア32-21と伝統の一戦は早大Bに軍配が上がった。

トライを喜び合うWTB清とCTB黒川

早慶戦にふさわしく、両者が得点をとりあう拮抗した試合展開となった今試合。脅威の無敗記録を守り切った早大Bは、ゲームキャプテンを務めた清水が「タイトな試合を勝ち切ったことは早大としても価値のある試合だった」と振り返るように、自力の強さを見せつけるゲームとなった。また数的不利という不測の事態にも、仲山や黒川の冷静なゲームメイクで見事に耐え忍んだことは、今後も続くジュニア選手権に向けて、大きな収穫となっただろう。これから関東大学対抗戦もシーズンが深まってくる中、Bチーム以下のカテゴリーの活躍は不可欠となる。折戸や清が揃って「ここがゴールではない。『赤黒』を着れるように頑張りたい」と述べるように、更なる部内競争の激化が予想される。『赤黒』そして『荒ぶる』を獲るための選手たちの活躍から目が離せない。

記事:大林祐太 写真:村上結太、安藤香穂(早稲田スポーツ新聞会)