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Beat Up

2024
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大学選手権 準決勝 京都産業大学戦/展望記

チーム佐藤は2025年を迎えた。「年越し」を成し遂げ、国立競技場で迎え撃つのは京産大。昨季の2023年12月23日、大阪の地で28-65と大差をつけられて完敗した相手だ。強力なFWとスピードのあるBK、早大はフィジカルで圧倒され、「自分たちのやりたいことをシンプルに出させてもらえなかった」と伊藤大祐(令6スポ卒=現神戸S)は試合後に振り返った。多くの部員の脳裏に焼き付いたあの敗戦の景色と悔しさを糧に、今シーズンはセットプレーとディフェンスにフォーカスして自分たちのラグビーを組み立ててきた。関東大学対抗戦では17年ぶりの全勝優勝を達成し、早大は最も勢いに乗っているチームの一つ。天敵を相手に白星を掴み取り、決勝進出を決めることができるか、早大は今季最大の山場を迎える。

全国大学選手権の初戦は、関西大学ラグビーAリーグ(関西リーグ)3位の近畿大と激突。前半はスクラムが安定しなかったものの、早大は試合開始から3連続のトライを挙げ、前半を24-5で折り返した。続く後半は早大がペースを握り、盤石なディフェンスを見せながら着実にリードを広げる。確かな修正力と持ち前のアタック、こだわりの守備で難しい初戦を53-10と危なげなく勝利した。

ディフェンスに仕掛けるHO佐藤

大学選手権準決勝、対する京産大は個人で局面を打開できるスタープレーヤーを数多く擁するフィジカルチーム。LO石橋チューカ、フナキ・ソロモネ、No.8シオネ・ポルテレ、CTBナブラギ・エロニ、FB辻野隼大を軸として、次々とゲインを奪い、攻撃を加速させる超アタッキングラグビーが特徴だ。厳しい練習に裏付けられた強力なセットプレーも大きな武器で、これまで数々のスクラム、モールを押し込んできた。前節は大東大と相まみえた京産大。序盤からシンプルにFWで前進を図り、主導権を握り続けて59-12と大差での勝利を見せた。関西リーグ戦では最後に2連敗を喫していたが大学選手権ではその不調ぶりを見せることはなく、圧倒的な力の差を見せつけた。

鋭いランを見せるSH細矢

勝負のカギとなるのはやはりスクラムだろう。PR杉本安伊朗(スポ2=東京・國學院久我山)、HO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)、PR亀山昇太郎(スポ4=茨城・茗溪学園)の早大フロントローを中心に、FW8人で京産大を押すことができるか、注目の局面だ。また、BKではSH対決も必見。早大はスタメンに細矢聖樹(スポ4=國學院栃木)を置き、リザーブには宮尾昌典(スポ4=京都成章)と豪華な布陣で臨む。一方の京産大も日本代表活動に参加してきた土永旭と髙木城治の二枚看板。攻撃の最前線からアタックのテンポを生み出す小兵たちの戦いは勝敗に直結するだろう。SO服部亮太(スポ1=佐賀工)と辻野(京産大)のキック合戦も見逃せない。驚異的な飛距離のキックで1年生ながらも大学ラグビー界を席巻した早大の服部に対し、京産大の辻野はラストイヤーを迎えた4年目。勢いに乗ったルーキーか、経験を積んだ主将か、彼らの熾烈なエリアの奪い合いから目が離せない。 

キックモーションに入るSO服部

このチームで戦える試合も多くてあと2つ。「Beat Up」というチームスローガンのもと、がむしゃらに、そしてひたむきに走り続けてきた1年間。鍛え抜いてきたスクラムとディフェンスでいくつもの白星を挙げてきたが、積み上げた勝利が一瞬のうちに崩れ去ってしまうのがノックアウトステージだ。しかし、その恐ろしさを、あっけなさを、早大は知っている。奇しくも、教えられたのは今節の相手。さあ、昨季の借りを返そう。そして、1月13日に秩父宮でこのチーム最後のラグビーをしよう。そのためには勝つしか道はないのだ。

記事:村上結太 写真:安藤香穂(早稲田スポーツ新聞会)