満開に咲き誇る桜が新たなシーズンの幕開けを告げる。前日に入部式を終え、新入生を迎え入れた早大は今年度の初陣として中大との一戦に臨んだ。シーズンの行方を占うこの試合には、多くの観客が早大・上井草グラウンドに足を運び、新チームの船出を見守った。
試合開始直後、早大はSO服部亮太(スポ2=佐賀工)のキックで果敢に敵陣へと攻め込むが、中大ディフェンスのプレッシャーに押され、得点に結びつけることができない。しかし、昨季から強化してきたスクラムで主導権を握ると得点を重ねていき、36-0と大幅にリードを広げて試合を折り返した。
迎えた後半、早大は前半から大きくメンバーを変える。中大アタックの時間が続き、ついにインゴールを明け渡してしまうものの、フレッシュなメンバーが勢いを取り戻し、60-7でノーサイド。今年度初の対外試合を見事に白星で飾った。

中大ボールのキックオフで試合が幕を開けた。早大は服部のキックで果敢に中大陣内へと進入する。ゴール前まで攻め込み、幾度も得点のチャンスが訪れるが、中大の接点でのプレッシャーに押され、なかなか得点に結びつけることができない。しかし、昨シーズンから強化してきたスクラムが功を奏し、主導権を握る。前半11分、敵陣ゴール前でのスクラムで何度もペナルティーを奪うと認定トライとなり、7-0と先制する。
これで勢いに乗った早大は、FL多田陽道(商2=東京・早実)のビッグゲインで敵陣深くまで攻め込むと、服部がFB植木太一(人2=神奈川・関東学院六浦)へのキックパスを見事に通し、インゴールにグラウンディング。追加点を挙げた。左隅の難しいゴールを服部が沈め14-0とする。続く21分、早大ボールのスクラムからSH糸瀬真周(スポ4=福岡・修猷館)がそのまま持ち出してラインブレイクをすると、BKに展開し、最後はWTB西浦岳優(社2=東福岡)がゴールラインに飛び込んだ。
前半25分にはLO栗田文介(スポ4=愛知・千種)が中大からボールをもぎ取ると、CTB黒川和音(人4=茨城・茗渓学園)からの鋭いパスを受け取った服部が相手のディフェンスラインを切り裂き、トライラインを叩き割る。26-0とリードを広げた。
さらにその直後、黒川がボールを再獲得し、FWが起点を作ると、またも黒川がラックの背後から勢いをつけて走り込み、トライラインをこじ開けた。試合終了間際にもFWがフェーズを重ねると最後はPR勝矢紘史(スポ4=長崎北陽台)がグラウンディング。36-0と大きくリードを広げて前半を折り返した。

早大は前半から大きくメンバーを変えて後半に臨んだ。更にリードを広げたい早大だったが、中大の攻撃の時間帯が続き、ついに失点を許してしまい、スコアは36-7となった。
勢いを取り戻したい早大はSO田中大斗(教2=東京・早実)とWTB山下恵士朗(スポ2=早稲田佐賀)が細かなパスを繋いでグラウンド右隅を駆け上がり、敵陣深くへと攻め込む。後半26分、SO仲山倫平(法4=ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ)がディフェンスの背後にキックを蹴り込むと、CTB平野仁(スポ2=神奈川・法政二)が持ち前の長身を活かして再獲得。大外でボールを受け取ったFB髙栁壮史(創理4=東京・早大学院)がディフェンスを抜ききり、待望のトライを挙げた。
CTB島田隼成(スポ2=福岡・修猷館)のキックも決まりリードを広げると、後半29分、仲山がラインブレイクしボールを繋ぐ。山下(恵)が次々と相手ディフェンスをかわし、最後はFL野島信太郎(教3=東海大大阪仰星)がトライラインを駆け抜けた。
続く31分には島田のショートパントを野島がキャッチ。パスを受け取った山下(恵)がライン際を走り抜け55-7とした。
試合終了間際、早大ボールのスクラムから田中(大)がディフェンスの背後にボールを転がすと、快足の髙栁の胸にボールが収まる。そしてラストパスを受け取った平野がダメ押しのトライ。60-7でノーサイドの笛が鳴り、勢いを取り戻した早大Aが今シーズン最初の対外試合で勝利を収めた。

細かなミスはあったものの終始リードを保ち、今年度最初の対外試合を見事に白星で飾った早大A。最上級生のプライドや下級生の活躍が目立ち、収穫が多い試合となった。
ゲームキャプテンを務めたFL田中勇成(教4=東京・早実)が「昨年と同様に勝ちにこだわりながら、チーム内での競争を強化させ、個人としてもチームとしても成長していきたい」と述べたように、『荒ぶる』獲得に向けて春シーズンは重要になってくる。
今試合を通じて、チーム野中が進むべき方向性が見えてきたはずだ。限られたチャンスを仕留め切り、勝利を手繰り寄せた先に昨年度届かなかった景色が待っている。
記事:大林祐太 写真:村上結太(早稲田スポーツ新聞会)