5月14日、新人早明戦。前半終了間際に逆転すると、後半開始から3連続トライで明治を突き放して16年ぶり新人早明戦勝利、ウォーターボーイを買って出た相良昌彦主将は試合後、開口一番「感動しました」と話し、続けます。
「エナジーの部分がすごかった。最初は攻められていたのですけど、ディフェンスの上がりがよくてそこでプレッシャーをかけ続けられたから自分たちの波に乗れた。ディフェンスの前に出る気迫が明治を圧倒していたのかなと思います」(相良主将)
相良昌彦主将が印象に残った選手が何人もいると話した中でも具体名をあげたのはゲームキャプテンFL中島潤一郎選手。
「ずっと周りに声をかけ続けていましたし、中島自身が前に出ることを体現していたのかなと思います」(相良主将)
その名前があがったFL中島潤一郎選手も試合後、胸を張って答えます。
「(高校時代から)名の知れた選手が多い相手に対して、チャレンジャーなりの勝ち方ができたと思います。小さい頃見ていた早稲田の勝ち方が初めての新人戦でできてよかったです。接点でのダブルタックル、走り続けること、新人練習で鍛えられたストロングポイントを出せたと思いますし、とにかく引いたらダメだと思っていました」(中島選手)
前に出るディフェンスで相手のミスを誘い、イーブンボールに働きかけてはマイボール確保。安定したスクラムを起点に次々と湧き出るフォローで9トライを記録。アタックの牽引役となったCTB野中健吾選手が話します。
「早稲田ラグビーを遂行、速いテンポでアタックを遂行しようとする意識で戦いました。個人としてはゲインラインを切ること、トライを取り切ることができてよかったです。周りの14人もよくつないでくれてチームにも感謝です」(野中選手)
相良昌彦主将も新人選手の活躍を賞賛するとともに、改めて早稲田の進むべき道を確認します。
「セービングや、サポートで何回かトライしたりとか、ああいうところは本当に今年最初に拘ろうと言っていたところ、そこがすべての局面でパーフェクト。僕らもあれができればさらに強くなれると思うし、格上にもそういうところで上回れれば勝てるというのは改めて思いました」(相良主将)
前日の委員会で話し合って決めたという相良昌彦主将、吉村紘副将のウォーターボーイ役。ゲームキャプテンのFL中島潤一郎選手は
「僕らがハイになっていたところを落ち着かせるようなアドバイスをしてくれました。前半リードされている時も、全然ゲーム内容は負けていない、エリアの取り方だけだと言われて落ち着きました」(中島選手)
と話しますが、相良昌彦主将は「何もしていない」と笑います。
「新人の選手たちが、中でどういうコミュニケーションを取っているのかが気になって状況に応じて声がけできたらいいなと思っていましたが、僕がいうことはなかったですね、中島、粟飯原あたりが中心になってずっと何をやるかを明確にしてできていたと思いますし、逆に学びが多かった。中島や粟飯原から学ぶという感じです…(笑)」(相良主将)
16年ぶりの新人早明戦勝利にも1年生たちは「もっと強い相手にも同じことをできるように」(中島選手)「コミュニケーションの内容をもっと具体的にしていきたい」(野中選手)と先を見据えます。
「Aチームのディフェンスでも前に出るところが課題なので、今日の1年生のプレーから学ぶところが多かった。明日の練習から言い続けていきたい」(相良主将)
コロナ以降初めて上井草に観客を入れて行われた一戦、観客席から大きな拍手が送られ、部員席の先輩たちは大盛り上がり、1年生の活躍によりチーム相良全体が加速していく予感を感じさせる一日となりました。
文・写真=鳥越裕貴